ぼちぼち通信
ぼちぼち通信
2025.10
急に涼しくなりました。日の暮れるのも早くなって、さみしいです。
COVID19、インフルエンザAは少し出ています。多いのは、はっきり病原体のわからない風邪、下痢している方、リンゴ病の方が多いです。
インフルエンザワクチン接種が始まります。
フルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)は点鼻によるインフルエンザワクチンです。日本では昨年、2024/25年シーズンより使用可能になりました。
シリンジ内のワクチン液を鼻腔に勢いよく噴霧すると、液がミセルになって鼻腔にとび散ります。点鼻ができるお子さんならできるのではないかと思います。鼻に入れる恐怖があると難しいかもしれません。
2~18歳のお子さんが対象です。残念ながら大人は利用できません。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001256393.pdf
有効性が気になっていました。
発売当初、フルミストの有効性は28.8%と報告されました。フルミストを点鼻すると28.8%インフルエンザになりにくいということになります。これは低いと思いました。
注射のインフルエンザワクチンを2回うつと有効性は60%と言われています。
2025年9月に2024/25年シーズンのフルミストの有効性が発表されて、有効率は56%となっています。
https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/node$150721/field_file_url
残念ながら、この調査では注射インフルエンザワクチンの有効性のデータが示されていませんが、
同シーズンの当院のデータだと注射インフルエンザワクチン2回接種で有効率63%でしたので、だいたい同じくらいです。
フルミストの有効率は、国により違いがあります。
少し前のデータですが、2016/17シーズンのインフルエンザA型(H3N2)に対しての海外での有効率です。
フィンランド(2歳) | ドイツ(2~17歳) | カナダ(2~17歳) | ||||
経鼻 | 注射 | 経鼻 | 注射 | 経鼻 | 注射 | |
インフルエンザA(H3N2)に対する有効率 | 38% | 55% | 56% | 56% | 74% |
49% |
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf
アメリカでは2013/14、2014/15、2015/16の3シーズンの、経鼻ワクチンの有効性が低かったために、2016/17、2017/18シーズンは経鼻ワクチンの推奨を中止していました。
2018/19シーズンからは推奨が再開されましたが。
おそらく、流行するウイルスの株、流行の時期、流行の程度によって経鼻ワクチンの効果は違ってくるように思います。
経鼻ワクチンの方が効果が長く持続するという記載を見かけますが、経鼻ワクチン1回接種で注射ワクチンより効果が長いという国内のデータはありません。注射ワクチンと同じく、経鼻ワクチンの効果持続は半年くらいと考えるのがいいと思います。
なお、経鼻ワクチン接種後の副反応としては、発熱7%、鼻水・鼻詰まり19%、咳7%、喉の痛み4%、頭痛4%などが報告されています。
https://www.medicalcommunity.jp/filedsp/products$druginfo$news$2025$250916_flm1/field_file_url
以下の方は、経鼻ワクチンを使用しないでおきましょうとなっています。
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240909_keibi_i_vaccine.pdf
フルミストの一番のメリットは、注射の痛みがないということかと思います。
受けられる方は、噴霧したミセルが鼻粘膜に届くように、お鼻をきれいにして受けましょう。
保育士さんにB型肝炎ワクチンを接種する
以前、B型肝炎のお子さんが保育所に入れない話をしました。
それで、その地域の保育士さんに、B型肝炎の感染はワクチンで予防ができるという話をしに行きました。
その話に、行政の方、保育士さんが反応してくださり、71名の保育士さんがB型肝炎ワクチンの接種を開始しました。
3回の接種が必要ですので、半年コースで行います。
自腹でワクチン接種を受けられる保育士さんに拍手です。
保育士さんなど、人に直に触れる職業の方は、接種費用の公的補助があったらいいのにと思います。
B型肝炎は、B型肝炎の方の血に触れてしまうと感染することがあります。
成人であるとB型肝炎の方との性交渉で感染することもあります。B型肝炎を持っていても何の症状もない方が多いので、ご本人がカミングアウトしない限り、周りからは感染しているかわかりません。
B型肝炎は日本では減りましたが、世界ではまだまだ多い感染症です。
下の図の青いところでは人口の8%以上となっています。中国、韓国、東南アジア、アフリカでは多いです。
世界のB型肝炎感染者の頻度(WHOのHP、2015)
日本でも地域によっては東南アジアからの外国人労働者が増えています。
B型肝炎の頻度は少し上がるでしょう。
2016年3月以前の生まれのお子さんは、定期接種ではB型肝炎ワクチンをうっていません。
将来のために受けられたらいいと思います。
正直、インフルエンザワクチンよりお勧めです。
仕事の使命感から、注射こわいと言いながら、B型肝炎ワクチンを受けられた保育士さんに感謝します。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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