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ぼちぼち通信-No52|垂水区の小児科・アレルギー科 たかのこどもクリニック|

ぼちぼち通信

ぼちぼち通信
BochiBochi Tsushin
No.52

2025.6

 

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ちょっとご無沙汰でした。
年の初めに毎月この通信を書こうと目標にしましたが、5月はスルーしてしましました。 子どもに「月に1回だったらできるでしょう。毎日と言っているのでないのだから・・・。」と言う大人がいそうですが、月1回といえども、継続するというのはなかなか難しいことです。
今は、胃腸炎、アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、リンゴ病などが少しずつ出ていますが、大きな流行はなく、外来は暇です。そしてなぜか、予防接種のご予約も少ない。 この時期に、ワクチンを済まされたらどうでしょうか。

インフルエンザワクチンは1回接種がいいか?
2回接種がいいか?

昨年7月にインフルエンザワクチンの接種回数を世界標準にしませんかと言いました。 WHO (世界保健機関)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、インフルエンザワクチンに関して、9歳未満で初めてを接種する場合は2回接種、9歳以上または過去に接種歴がある場合は1回接種でいいとなっています。
これは、過去に2回の接種歴があれば、1回接種でも2回接種でも、インフルエンザの感染予防効果にあまりかわりがないから、となっています。
そうであるならば、痛い思いを2回もしなくていいのではないかと考え、過去に2回インフルエンザワクチンをうっている人は、1回でいいよと言いました。

 

本当にこれでいいのか?
今シーズンのワクチン接種歴とインフルエンザにかかったかを調査しました。

 

当院において、2024年12月から2025年3月、発熱患者さんにのべ1200回のインフルエンザ抗原検査をしていました。鼻に綿棒入れる検査で痛い思いをさせてすみません。
そのうち、インフルエンザワクチンの接種回数が確認できた方に関して、インフルエンザAにかかったかと、インフルエンザワクチンの接種回数から、インフルエンザワクチンの予防効果をみました。インフルエンザBにかかった人は少なかったので、今回は調査できませんでした。

3~9歳のインフルエンザワクチンのインフルエンザAに対する予防効果

1回接種か2回接種かが問題となる3~9歳(650例)でみてみると、インフルエンザワクチンのインフルエンザAに対する予防効果は1回接種で34%、2回接種で62%となり、やはり2回接種の予防効果が高いです。これまでのデータとは違いがありました。
過去のデータから1回接種でいいよと言い、申し訳なかったです。皆さんを試そうというつもりはなかったのですが・・・。

 

ただ、ややこしいことを申しますと・・・、
12月は発熱で検査した人の60%がインフルエンザA陽性でした。インフルエンザAの一番はやっていた時期です。
その12月だけを見ると、3~9歳で1回接種のインフルエンザAに対する予防効果は34%、2回接種でも37%で、予防効果は変わりありませんでした。
インフルエンザが非常に流行するときは、感染機会が増えて、2回接種していてもかかってしまうことが多くなるということでしょうか。
どういう流行状況で調査するかで、予防効果が変わってくるように思います。

 

さて、今年はどうするのがいいか?
シーズン通してみると、予防効果は2回接種の方がいいです。ただ、2回うっても60%ほどの予防効果です。
インフルエンザにかかって一番困るのはインフルエンザ脳症を起こす人がいることです。
1年前のデータですが、2023/2024シーズンに国内で162例のインフルエンザ脳症が報告されており、その年齢をみてみると、2~6歳47例、7~12歳57例と大きい子にも割と多いです。

2023/2024年シーズンインフルエンザ脳症の年齢別報告

https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/encephalitis/020/index.html

 

0~18歳でみると、インフルエンザ脳症の発症は143例、2023年の0~18歳人口は1851.3万人であるので、0~18歳10万人に1シーズン約0.8人の頻度です。神戸市の0~18歳では1シーズン約2人のインフルエンザ脳症が発生することになります。もう少し多い気もしますが・・・。

 

インフルエンザ脳症は頻度としては多くはないですが、ならないためにはインフルエンザにかからないしかないです。となると、2回接種の方が予防効果は少し上がります。残念ながら100%ではないのですが。

 

今年、神戸市では経鼻弱毒生インフルエンザワクチンにも接種補助がされます。 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは2歳~19歳が適応で、鼻に点鼻する形態で、1回接種です。効果は注射と同じくらいとなっています。鼻の恐怖がなければ、注射の痛みはないです。
ただ、値段が高いです。1回7000円の予定ですが、同じ補助があっても5000円かかります。
昨シーズンは当クリニックでは経鼻弱毒生インフルエンザワクチンをやっていませんでしたが、今年は接種予定です。

今年、インフルエンザワクチンを何回うつのがいいですかと聞かれたら、

・初めて接種する人は2回接種がいいです。

・6ヶ月~2歳児は2回接種がいいです。

・より予防効果を上げるなら2回がいいです。

・この1-2年にインフルエンザにかかり、インフルエンザワクチンの2回接種を受けたことのある3歳上の人は1回でもいいと思います。

と、答える予定です。

当クリニックでアレルギー専門の看護師さん(PAE、CAI)が
誕生しました

PAE(pediatric allergy educator:小児アレルギーエデュケーター)というのは、日本小児臨床アレルギー学会が認定した小児アレルギー疾患の専門家として認められた看護師・薬剤師・管理栄養士さんのことです。講習、試験をうけて、レポートを作成して、1年ほどかけて取れる資格です。合格率は20%とか。


CAI(Clinical Allergy Instructor:アレルギー疾患療養指導士)というのは日本アレルギー疾患療養指導士認定機構が認定した成人も含めたアレルギー疾患の治療や管理に関する専門知識を有し、患者さんや家族への指導スキルを兼ね備えた看護師・薬剤師・管理栄養士さんのことです。レポートを提出して、講習を受けて、試験受けて、数か月かかります。

 

当クリニックの看護師さんが1名PAEに合格しました。他2名の看護師さんがCAIに合格しました。そしてもう一人の看護師さんが、PAEにもう一歩です。

 

すばらしいですね。 私はこういう資格は、アレルギー外来をやっている病院で、PAEやCAIの資格を持った看護師さんの指導の下でしか取れないものと思っていました。
こういうクリニックで勉強して取れることに感動です。
彼女たちの頑張りに感謝です。

 

気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法などなど、たくさんのアレルギー患者さんから勉強させていただいています。ありがとうございます。

 

勉強したことを臨床に生かしていかなければなりません。
患者さん、患者さん家族のアレルギー疾患に対応するスキルをさらにアップするように、切磋琢磨し、チームで頑張っていきたいと考えます。
アレルギーのことはいつでも気軽に看護師さんに聞いてください。

 

著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子

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