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ぼちぼち通信-No41|垂水区の小児科・アレルギー科 たかのこどもクリニック|

ぼちぼち通信

ぼちぼち通信
BochiBochi Tsushin
No.41
2024.3
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皆様お変わりございませんか。
最近、夕方6時でも明るいことに気が付きました。冷える日もありますが、春が近づいています。
コロナ、インフルエンザ、溶連菌などいろいろな感染症が流行りました、流行っています。
医療面ではコロナの特別対応がこの3月で終了します。小児科での感染対策は続きますが、コロナのための感染対策は終了します。段々に元に戻っていく感じです。

-国内でも麻疹が発生しています-

麻疹の国内発生数は多くはないが、非常にうつりやすい感染症なので、感染したことのない人、麻疹(麻疹・風疹)ワクチンをうっていない人は、感染者と同じ空間にいたら感染する。
新幹線の同じ車両にいるだけで。

 

新聞報道などで拾えた感染者だけですが

報告日 地域 年齢・性別 ワクチン接種歴
2024-3-6 奈良 外国人 不明
2024-3-6 奈良 男性30代 不明
2024-2-20 大阪 男性20代 なし
2024-3-3 大阪 男性20代 なし
2024-3-7 大阪 女性20代

1回

2024-3-6 岐阜 女性50代 不明
2024-3-3 愛知 女性20代 なし
2024-3-5 愛知 女性20代 なし
2024-3-4 東京 男性5歳未満 なし
2024-3-11 東京 女性20代 不明

やはり、ワクチンをうっていない人が多い。

 

世界では流行している地域があり、国外から入ってくることは避けられない。
ロシア、インド、中東、アフリカが多い。

世界における麻しんの流行状況(令和5年1月~令和5年12月)

https://www.mhlw.go.jp/content/001221745.pdf

 

1歳になったら麻疹・風疹ワクチンをうちましょう!!

 

麻疹がなぜ怖いか?
昔は多くの子どもがかかっていた。1950年ころ18万人が感染し、9000人(死亡率5%)が麻疹で死亡していた。私の叔父となるべき人も5歳の時に麻疹で死亡したと聞いている。
それくらい、身近で死んでしまうこともある病気であった。

 

それだからワクチンができた。麻疹ワクチンは国内では1972年10月生まれから定期接種として開始された。1990年4月生まれからは接種漏れがなければ、2回麻疹・風疹ワクチンをうっているはずである。

 

麻疹は減ったが、時々、麻疹の小流行はあって、うちの息子4人中2人が麻疹にかかってしまっている。1歳になってすぐと、1歳になる前と。どちらもワクチンをうっていなかった。一人は入院したが、もう一人は自宅で何とかなった。それでも私は20歳ころまで心配だった。

 

麻疹はよくなっても、変異した麻疹ウイルスがずっと神経に感染し続け、10歳ころに発症するSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という病気がある。小児科医になって2名の患者さんに出会った。

 

どちらも1歳ころに麻疹にかかってからは、普通にすごして来られた患者さんであったが、9-10歳ころに、しんどいと言って学校を休むようになり、好きだったことをしなくなり、学校の成績が落ち、転びやすくなり、なにかおかしいと受診された。始めは何かわからなかったが、調べていくとSSPEであることが分かった。

 

1歳ころまでに麻疹ウイルスに感染すると回復しても、たまたま変異したウイルスが神経にすみついて、10年くらいたって神経を犯していく。子どもはできていたことができなくなり、寝たきりになり、呼吸もできなくなり、死んでいく。何も効果的な治療法がない。こんな怖い、悲しい病気はないと思った。

 

そんな患者さんを診てきたから、その病気は10万人に1人で、確率は低いのであるが、1歳ころに感染したうちの息子達もなるかもしれないと、20歳ころまでは心配であった。幸い、2人とも20歳を過ぎ、それは免れたようでよかったが。運がよかった。

 

死ぬような病気がワクチンで防げるなら、防ごうよ、という思いである。

幸い、麻疹・風疹のワクチンの供給も戻っている。
1歳さんは早くに接種してください。

 

この4月にいくつかワクチンが変わります

定期接種で使っている2つのワクチンが変わる。
4種混合ワクチンが5種混合ワクチンになり、肺炎球菌ワクチンが13価から15価になる。

 

4種混合は、以前の3種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳)にポリオが加わって、2012年11月から定期接種になった。

4種混合が使われるまでは、ポリオは経口生ワクチンとして内服していた。弱毒化している生ワクチンを飲んでいたが、ワクチンのウイルスが病気を起こす強毒ポリオウイルスに変異してしまうことがあり、他人に感染しポリオの病気になる人が発生し、注射の不活化ポリオワクチンに代わった。そして、それが3種混合といっしょになって、4種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオ)になった。

 

今回はこの4種混合にインフルエンザ菌b型(ヒブ)が加わり、5種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳・ポリオ・ヒブ)になる。
これまでは4種混合とヒブをバラバラにうっていたのが、一緒になった。4種混合もヒブも4回うつワクチンなので、一緒になれば、子どもの痛い思いは4回減ることになり、よかった、よかった、である。

 

素人は、そんなら始めから、全部混ざったワクチンを作ったらいいのにと思うが、専門家によるとこれも簡単なことではないそうである。
何かを混ぜることで、各々の抗体のつき方(ワクチンの効果)が落ちてしまうことがあるそうで、効果を落とさないように混ぜるにはいろいろな工夫が必要とのことである。4種混合にヒブワクチンを混ぜることにもいろいろな苦労があったそうである。

 

2024年4月から初回の接種の方は、5種混合が使われる。今のところ、これまで4種混合でうってきた人は、残念ながら4種混合+ヒブを使いなさいということになっている。ごめんなさいね。

 

そして、もう一つ、日本ではコロナワクチンと子宮頸がんワクチンで少しなじみが出てきた、ワクチンの筋肉内注射が5種混合で可能である。1歳までの子は太ももに筋肉内注射するのであるが、これまでの皮下注射より、注射部位の赤みと腫れが少ないそうである。
私は皮下注射に慣れており、筋肉内注射にするか悩んでいる。

 

もう一点の変更点。肺炎球菌ワクチンが13価から15価に代わる。
肺炎球菌は細菌性髄膜炎を起こす細菌である。90種類以上の肺炎球菌の型があり、一番始めは、細菌性髄膜炎を起こしやすい7種類の菌型に対するワクチン(PCV7)が2010年2月から使われていた。これでもある程度の効果があったのであるが、ワクチンに含まれていない菌型による髄膜炎が増えてきて、2013年11月に13種の菌型に対応する13価ワクチン(PCV13)になった。肺炎球菌による細菌性髄膜炎はワクチン導入前に比べ、78%減少した。

小児における侵襲性肺炎球菌感染症の疾病負荷
侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の罹患の状況(5歳未満人口10万人当たり)

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165465.pdf

 

そして、2024年4月から15種の菌型を抑える15価(PCV15)になる。さらに、来年には20種の菌型を抑える20価(PCV20)が出るそうである。抑えられる菌型が増えるほど、予防効果は高くなり、副作用も変わらないそうであるから、よかった、よかった。 この15価肺炎球菌ワクチンも筋肉内接種の可能とのこと。どうするのがいいか悩める。

 

ただ、下の図に示すように、ワクチンで予防できる菌型は減っているが、抑えられない菌型が増えている。
まだまだ、ワクチンで予防できない菌型があるから注意である。

 

小児における侵襲性肺炎球kん感染症の疾病負荷
5歳未満のIPD症例における血清型分布の変化(2013年から2022年)

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165465.pdf

 

著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子

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