ぼちぼち通信
ぼちぼち通信
梅雨でしょうか。雨が多くなっています。
暑い日もあれば、肌寒日もあるこの頃です。
お元気でしょうか。
発熱のお子さんが多いですが、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザは成りを潜め、ヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症、RSウイルス感染症、溶連菌感染症、そして胃腸炎といろいろなものが出ています。コロナ前はもう少し順番に流行性があったように思うのですが・・・。
2023年4月27日に茨城で麻疹の報告があってから、国内でぽつぽつと麻疹が発生しています。
麻疹の方は新神戸から新幹線に乗ったとかで、神戸でも麻疹の発生がありました。
日本では2019年に大阪や三重などで集団発生がありました。麻疹は海外から持ち込まれることが多く、海外からの入国が制限されていたコロナ禍は非常に少なくなっていました。麻しんについて|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
麻疹は東南アジアではまだまだ多い感染症で、WHOの資料(下図)の赤いところが多い国なのですが、インドやインドネシアでは特に多いです。global_mr_update.pptx (live.com)
麻疹は2回ワクチンをうっていれば予防できますが、全く接種していない人は、麻疹の人と同じ空間にいただけで感染します。
1回接種の人も感染しやすいです。麻疹は空気感染で、普通のマスクでは予防できないです。
麻疹は怖い病気です。その昔、ワクチン接種がされる前は、麻疹での死亡率は高く、子どもの“命定め”と言われたそうです。現在、先進国での死亡率は0.1~0.2%と言われています。
麻疹が怖いのは一つは麻疹による脳炎があること、もう一つは、最近マスコミでもよく報道されていますが、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という神経の後遺症があることです。
SSPEは10万人に1人くらいといわれ、まれな疾患とされていますが、これまでに私でも2例出会いました。
免疫が未熟な1歳くらいまでに麻疹にかかると、麻疹ウイルスが神経にすみついていて、10年後に神経症状が出てきて発症するという病気です。病気は徐々に進行し、できていたことができなくなり、寝たきりになり、死亡します。
出会った一人のお子さんは力が入らない、だるいなどの症状から学校を休みがちになり、不登校と思われていました。
麻疹はワクチンで予防できます。
1歳になったらMRワクチンをうちましょう。そして、年長さんの時に必ず、もう一度うちましょう。
日本で麻疹ワクチンは、1972年10月1日生まれから定期接種されましたが、始めは1回接種でした。
年齢でみる不足している可能性があるワクチン(キャッチアップスケジュール) こどもとおとなのワクチンサイト (vaccine4all.jp)
出生年 | 麻疹ワクチンの接種回数 |
1972年9月30日以前 | 未接種 |
1972年10月1日~1990年4月1日 | 1回接種 |
1990年4月2日~2000年4月1日 | 特例措置で2回接種している人もいる |
2000年4月2日以降 | 2回接種 |
接種しているかどうかは母子手帳でお確かめください。
麻疹にかかった確実な記録がなく、ワクチン接種を2回されていない方は、ワクチン接種をしてください。自分のために、小さい子どもたちのために。
4月、5月、保育所でリンゴを食べた子が窒息したと報道がありました。
6か月女児、すりおろしリンゴを食べて窒息、1か月後に死亡されています。
8か月男児、厚さ3ミリ、長さ7ミリのリンゴを食べて窒息、意識不明になっています。
とっても非常識な食べ物ではないように思う。この程度のものなら、家庭でもあげているかもしれない。
おそらく、小さい子に食事をあげているお母さんなら、窒息しそうな場面に出会っているのではないであろうか。いつもあげて大丈夫なものでも窒息は起こってしまう。私も息子にじゃがいもを食べさせていて、のどに詰まらせ、ヒヤッとしたことがあった。
年齢によってどれくらいの固さのものが食べられるか。
標準的な発達なら
生後5~6か月頃 | 離乳食を飲み込むだけで、舌や歯ぐきで噛んだりつぶしたりすることはできません。 |
生後7~8か月頃 | 舌でつぶせる固さのものが食べられます。 |
生後9~11か月頃 | 歯ぐきでつぶせる固さのものが食べられます。 |
生後12~18か月頃 | 前歯で噛み切って歯ぐきで噛める固さのものが食べられるようになります。 |
1歳半以降 | 前歯が生えそろい、奥歯も生え、手づかみで盛んに食べるようになります。 前歯での適量のかじり取りや奥歯でのすりつぶしができるようになります。 |
3歳頃 | 乳歯が完成し、ものをすりつぶすことができるようになりますが、噛む力は大人と比べて弱いと言われています。 固いものはうまく噛むことができませんので、丸飲みすることにより、窒息につながる可能性があります。 |
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123
これに従うなら、8か月の子に、生のリンゴはいくら小さく切っても、舌でつぶせる固さではなかったと思う。
すりおろしリンゴだったらよかったのか。
6か月の子にはすりおろしリンゴの汁だけを上げていたらよかったのかと思う。
どのような食べ物が危険か、小児科学会のHPに上がっているので参考にしてください。
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123
あめやピーナッツが危険なのは昔から言われていたが、ブドウやトマトでも詰まらせた事例がある。小学生でも。
いつでも、何歳になっても、喉詰めは注意です。
みんなで注意しましょう。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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