ぼちぼち通信
ぼちぼち通信
8月8日までの神戸市感染症発生動向調査を見ると、RSウイルス感染症の流行が減少し、胃腸炎は絶えず何らかの流行があるという状況になっている。手足口病、ヘルパンギーナなどの夏の風邪はまだ多くないようである。
https://www.city.kobe.lg.jp/a73576/kenko/health/infection/trend/shuuhou2021.html
お盆前、8例、発疹の激しい手足口病を見た。上肢、下肢、おしり、口のまわりに芯や水疱のある大小の丘疹を認め、とびひ様になっている子もいた。手足口病は手掌や足底に中心が白い発赤疹と口の中にアフタを認めるものとして習ったが、今年の手足口病は、上下肢全体に発疹を認めるものが流行っているようである。
発熱は2-3日ある子が多く、発疹は1週間くらい続く。発疹の様子は大阪府感染症情報センターの報告を参照ください。
http://www.iph.pref.osaka.jp/kansen/takuchi/tak1.html
胃腸炎は絶えず流行っているようであるが、おそらく今は夏かぜウイルスの胃腸炎か?発熱を伴い嘔吐や下痢で来られる子がいる。
そしてそこに、新型コロナウイルス感染症の子がまぎれる。子どもの新型コロナウイルス感染症は家族に感染者がいるか、幼稚園や保育所、学校での流行があるかの子だと思っていた。
8月になって、「家族に熱のある人はいません。学校でも感染者はいなくて、学校は夏休みです。人混み、親戚にも行っていません。」という発熱の小学生が来られた。感染源もなく、新型コロナウイルス感染症ではないだろうな、夏風邪かなと思ったが、新型コロナウイルスのPCR検査をすると陽性だった。びっくり。
家族に結果を伝えると、夜、帰宅されたお父さんの熱を測ると発熱があったとのこと(父も新型コロナウイルス陽性だった)。このお子さんも家族内感染と考えられたが、受診時には家族の感染状況がはっきりしていない場合もあることを学んだ。このお父さんは通常通り仕事も行かれ、発熱のチェックポイントで発熱のチェックを受けていたが、異常は出なかったとのこと。
外ではマスクをして、外食はしないなどの感染対策している人が感染している。まさか自分が感染するとは・・・という思いであろう。通勤電車は密と聞く。この感染症はマスクでは防ぎようがないのか・・・
外来にはいろいろな原因による発熱の子がおり、各々隔離して、感染対策はしているが、それで大丈夫なのかと心配になる。
夏になると水の事故が報道される。日曜日の海を見ながら、今日もどこかで、誰かが、水の犠牲になるのだろうなと悲しくなる。楽しく出かけたであろうに・・・痛ましい。
そして、もう一つが車内熱中症の事故である。どんなに涼しくても子どもを車に置き去りにしてはいけないと言われている。でも、子どもが寝ていたりすると、短時間ならいいいかなと、一人にすることがあるのではないだろうか。
私も保育所の送迎の時は子どもだけを車に置いて行ったことはあったと反省する。
JAFの報告によると、子どもを車内に残したままのキー閉じこみは2019年8月に115件あったそうである
(https://jaf.or.jp/common/news/2020/20200721-002)。
これは子どもを車内に残してキーが閉じこみになったケースだけなので、子どもが車に置き去りにされているのは、どれくらい多いのであろう。
日本小児科学会のinjury alert(傷害速報)に子どもの自動車内閉じ込めによる障害の報告がある。
1歳の子が8月30日午前9時30分に車に閉じ込められ、30分後にぐったりした。車のガラスを割って救出した時には体温が39.9℃になっていたと報告されている。幸い、命には別条はなかった。
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0043.pdf
JAFの資料でも、エアコンを止めて15分で危険な温度になると言われている。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/480003
今年の夏は、別の意味でも痛ましい事故が起こった。
保育園の送迎バス内に置き去りになり熱中症により死亡した事例である。園長が一人で送迎、乗降の確認なし、出欠の確認なし。日々の安全管理が甘かったとしか言いようがない。
これは我々の医療安全にも通ずることがあると寒くなった。日々何となくできていることも、きちんと確認するシステムがないといずれ事故が起こると。
話がそれてすみません。とにかく、子どもだけを車に置いておくのは、危険である。夏は当然、冬であろうとも。
車内熱中症は防げる事故である。ゼロにしよう。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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