ぼちぼち通信
ぼちぼち通信
お変わりございませんでしょうか。
あの夏の暑さはどこへ・・・。この1か月の変化はびっくりしますね。朝夕は冷えるようになり、布団の温かさが心地よくなってきました。寒暖差が激しく、風邪をひきやすいでしょうか。気を付けましょう。私も気を付けます。
当クリニックのインフルエンザ予防接種の予約は、9月15日から開始して10月7日にいっぱいになってしまいました。
申し訳ありません。
厚労省は2020/21シーズン向けのインフルエンザワクチンは昨年より多く約3,178万本(最大約6,300万人分;1本に2人分の量が入っている)を確保できる見込みと発表している。
日本の子ども人口は1,512万人(2020年5月)、2回接種が推奨されている1~12歳が1,200万人とすると、子どもが全員インフルエンザワクチンを接種したら、2,700万人分必要になる。65歳以上の老人は3,617万人(2020年9月)。
子どもと老人がみんな接種したら6,300万人分必要で、今シーズンの供給量は消費されてしまう。接種が必要な医療関係者あり、お勤めの方は会社からインフルエンザ予防接種の補助金が出ていたりして、新型コロナウイルス感染症の流行下インフルエンザ予防接種が推奨されているが、全く数が足りない。
我々小児科医ももっとこの事実に真摯になって、9歳以上は1回接種でいいとしたらよかったと思う。
神戸市は12歳まで、1回目はどの子も2,000円の助成、2回目も18未満のきょうだいがおられる方は2,000円の助成がある。12歳までは2回接種することを推奨してしまっている。
特に8歳までの子はインフルエンザ脳症の危険性がある。インフルエンザにかからなければインフルエンザ脳症にもならないわけだから、予防接種をしてインフルエンザにかからない確率を上げてもらえるのは助かる。
インフルエンザ流行期の発熱での痙攣は、ほとんどが熱性けいれんであるが、中にはインフルエンザ脳症もあり、当直していても怖かった。インフルエンザと診断し、脳症を疑ってすぐ治療開始しても一晩で病状は進行し、後はなすすべのなくなる症例もあった。だから、小さい子は2回接種して、インフルエンザを予防できるものなら予防してほしいと思う。
残念ながら、インフルエンザワクチンの有効率は50~60%と高くはないのであるが・・・。
こんなに数がひっ迫しているのに、もう一つ気になるのが、インフルエンザワクチンの医療機関への供給のされ方である。
昨年の使用実績に基づいて卸さんから医療機関に供給されることになっているそうだ。うちのような新規開業は去年の実績ゼロで、その法則で行くといつまでもゼロである。
「先生のとこに持ってこられる分はありません。去年の実績で分配しますので。」と言われる卸さんが多かった。ある卸さんが頑張って用意してくれ、うちでもインフルエンザ予防接種ができそうである。しかし、どこにどれだけワクチンがあるかは全くわからない。卸さん同士もおそらくわからないし、クリニック同士もわからない。
うちのインフルエンザ予防接種の予約がいっぱいだから、ワクチンの余裕があるところを紹介してあげたいが、それもわからず。患者さんは電話をかけまくり、web予約に戦々恐々としているのではないかと思う。
また明日も、「すみません。予約いっぱいです。」と断らなければならないのであろう。本当申し訳ない。
もっと、風通しがよく、数少ないワクチンを有効に利用できる方法はないのかと思う。シーズン終わりには使わなかったワクチンの返品もあると聞く。十分に議論しない我々小児科医にも罪がある。すみません。
芸能人の自殺が相次いで報道されている。いろいろな事情、理由はあるのであろうが、残念でしかたない。若者がつられないといいが・・・。
日本の自殺者は減少傾向にあるが、10代の自殺は減ってはいない、微増傾向ともみえる
(図1、http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R02/R01_jisatuno_joukyou.pdf)。
警察庁のデータでは、2019年の19歳までの自殺者数は618名と報告されている。小学生9名、中学生101名、高校生266名、大学生387名、専門学校など93名。大学生、専門学校生は10代を超える人もいると思うが、いづれにしても若い人達だろう。もったいない。
それよると、19歳までの自殺の原因(2019年)は、家庭問題116名(19%)、健康問題138名(22%)、経済・生活問題11名(2%)、勤務問題26名(4%)、男女問題63名(10%)、学校問題202名(33%)、その他62名(図2)。
学校や家庭のこと、病気のことが原因として多い。きっと、ベースに本人も気が付いていないかもしれない原因があって、そこに何か直接的な原因となる動機があって、生きることがつらくなってしまうのでないかと思う。
我々が何か手助けできることはないのか。特にそのベースとなるような原因を察知してやれないか。これに私は全く答えを持ち合わせていない。無力であるが、小児科医として何かできることを探していきたい。
つらいことがあると、私には中島みゆきの『重き荷を負いて』の歌が浮かぶ。「・・・頑張ってから死にたいな、頑張ってから死にたいな、這い上がれ、這い上がれと、自分を呼びながら・・・」。死にたくなくてもそのうち死ぬのであるから、生きることを大切にしてほしい。
きっと、それ以上につらいのであるが・・・。自殺者が減ることを祈る。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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