ぼちぼち通信
ぼちぼち通信
お元気ですか。この夏は(も)暑かったですね。クーラーのない我が家はこたえました。
『熱中症死亡の8割がクーラーを適切に使用していない』の記事を見て、私もこの仲間入りしてしまうと思った夏でした。歩いて受診に来られたお子さんが「暑い~」と上半身裸で、汗をたらたら流しながら、診察室に入って来られたのにびっくり! えらかったね、ご苦労さんと声をかけたい一コマもありました。
暑さが過ぎたら台風です。大きな災害が起こらないことを願うばかりです。
私はハマっています。顔芸とも言われる芝居の大げささに笑い、俳優さん同士の顔の近さにソーシャルディスタンス、ソーシャルディスタンスと叫ばずにいられない。居酒屋のシーンは異常に密で、お酒飲んで顔を近づけてしゃべるのをみて、ここに新型コロナウイルス感染症の方がおられたらどれだけのクラスターになるのだろうなど考えてしまう。人の密が許された前コロナ時代が懐かしい。
withコロナの半沢直樹は、みんなマスクして、ソーシャルディスタンスを保って、webで画面に顔近づけて怒鳴りあっているのかもしれません。
私の弟が銀行員をしていて、「銀行員は人の金を動かして何が面白いんだろう」とずっと思っていました。でも、半沢直樹を見て、人の暮らしを豊かにするような企業に、銀行が必要な経営改善のテコ入れをして、お金を貸して支援していく。世の中をよくしていくようにお金という一つの道具を効かそうと考えるのが銀行員か、それはやりがいがある仕事だと思いました。
医療は個人のことになりますが、同じ面もあるかなと感じました。病気も薬だけで治るのではなく、患者さんの治そうという気持ち、生活改善の努力や熱心なご家族のケアがあって、そこに治療薬も入ってよくしていくのだと思います。
半沢直樹でよく叫ばれる「感謝と恩返し」。我々医療者も、受診していただいた患者さんに感謝し、患者さんと家族にとっての最善の医療とサービスを提供するようにがんばろうと、日曜の夜に半沢直樹を見て1週間の元気をもらっています。
ミズホメディーの会社の人が来られて、「この器械(Smart Gene®)で新型コロナウイルスのPCRができるようになったので少し設定を変えますね。」と器械をいじり始めた。巾15.2cm×奥行34.3cm×高さ30cmのちっぽけな器械で、1個8725円のカートリッジを買えば、40~60分で新型コロナウイルスPCRの結果出るとのこと。へ~、すごい!
研究検査なので保険は通ってないが、10~15検体のテストで通常のPCRと陽性一致率、陰性一致率ともに100%であると国立感染研究所のデータを見せられた。
抗原検査より感度、特異度どもによさそうだ。新型コロナウイルスの検査はPCR、抗原検査ともにどんどん出てきている。しかし、患者さんのトリアージ、検体採取という面で我々は戸惑っている。
厚生労働省から、10月から発熱の患者さんは地域のかかりつけ医で初期対応するようにと通達があった(9月4日)。
『発熱患者による電話相談は、どこの医療機関でも受け付け、診療や検査が可能な医療機関について、自院を含めて案内する。』というのがかかりつけ医の仕事とのこと。自院で検査できないクリニックは、インフルエンザも新型コロナも検査できる医療機関に発熱患者さんを紹介したらいいということのようである。
難しくはないが、これは小児科にとって現実的か? 発熱の子どもさんにもこれを適応したら、検査できる医療機関がすべて受けてくれるのだろうか? 検査が陰性だった場合、その後は・・・?
成人では味覚障害など新型コロナウイルス感染症に特異的な症状があると言われるが、小児ではあるのだろうか。あいち小児医療保健総合センターの伊藤健太先生がyahoo ニュースに小児の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について書いておられました。 https://news.yahoo.co.jp/articles/6edba853b937709a30ef937e507600d57e5ffe73
以下ほんの一部ですが、『子どものCOVID-19は普通感冒(いわゆる風邪)やインフルエンザなどの一般的な感染症と大きく変わらない。・・・症状のみでCOVID-19か、普通の風邪か、また秋口から流行するインフルエンザと見分けがつくとは、私には到底言えません。・・・全く症状がない子どもが数%から3割弱います。』『子どものCOVID-19は家族内感染が多いことは一つの光明かもしれません。・・・およそ75%の患者は家族内で感染者と接していました』『日本でも7月31日までの情報では小中高校生のCOVID-19感染者242人中、学校内感染といわれているのは5%の11人にすぎませんでした』
ということは、小児の新型コロナウイルス感染症に特異的症状はなさそうだが、同居家族に発熱者がいるとか、新型コロナウイルス患者さんに間接的であれ接触したという情報が大切かと、思いました。
我々は、発熱患者さんを隔離して、家族内の発熱者を聞き、必要な感染対策を行い、患者さんの重症度を見分けることをやっていくしかないか。インフルエンザは治療薬があるから検査して診断するのはいいとしても、新型コロナウイルス感染症を疑い、小児の発熱患者さんすべてに検査する必要があるだろうか。
重症度に応じて、でいいのではないかと思うのであるが・・・。世間はどうなっていくのだろう・・・。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
〒655-0004
神戸市垂水区学が丘7-1-30 東多聞台クリニックビレッジ
Copyright (C) 垂水区 小児科・アレルギー科 たかのこどもクリニック. All Rights Reserved.