院長コラム
B型肝炎ワクチンは2016年4月以降に生まれたお子さんは定期接種(無料)になっています。
B型肝炎はウイルス感染の一つです。
昔、例えば、1950年生まれの方は140人に1人がB型肝炎ウイルスに感染していました。
B型肝炎がチェックされていなかった昔は輸血したとき、B型肝炎のお母さんから生まれたときに感染していました。
それで、1972年から輸血や血液製剤のB型肝炎スクリーニングがされるようになり、1986年からはB型肝炎のお母さんから生まれた赤ちゃんに免疫グロブリンとB型肝炎ワクチン接種で感染予防を行うようになりました。
これらは非常に効果を上げ、1998~2015年生まれの方は3000人に1人の感染症に減りました。
B型肝炎ウイルスは一旦感染すると、生涯、体の中にウイルスが残ります。
感染すると、そのうち肝炎を起こして、抗体ができ(セロコンバージョン)、ウイルス量が減り、肝炎が治まる人が多いです。
しかし中には肝硬変や肝臓がんになる人がおられます。
感染していても多くの人は何も症状はないですが、ある日、肝臓がんが見つかり、見つかったときは手遅れになっていることもあります。B型肝炎による肝臓がんは40歳までの若い人(全国調査の最も最年少は8歳でした)にも起こるがんです。
現在、輸血や血液製剤からのB型肝炎の感染はなくなっています。
このウイルスに感染するのは、
1.B型肝炎のお母さんから生まれるときの予防がうまくいかなかったとき(母子感染)、
2.B型肝炎の人の血液、唾液、汗、涙などに直に触れると気にならないような小さい傷から感染することがある、
3.成人では性感染することがあります。
B型肝炎のお子さんの70%は母子感染です。残り30%は、身近なB型肝炎の人から知らないうちに感染したものであることが分かってきました。
例えば、お父さんがB型肝炎であると、知らないうちに、ひょっとしたらお父さんがほおずりしたり、一緒のお箸で子どもと食べたりして感染するのかもしれません。
水平感染を予防しようと、B型肝炎ワクチンが定期接種となりました。
身近なB型肝炎の人からの感染は幼少期が多いので、1歳までに接種しようとなりました。
それなら大きい子はB型肝炎ワクチンを接種しなくてもいいのかということになりますが、そうではありません。
B型肝炎は成人になっても、B型肝炎の方の血液に触れてしまったときや、性行為で感染することがあります。
日本ではB型肝炎は少なくなりましたが、アジア、アフリカではまだまだ多い感染症です。
この国際化の時代、B型肝炎の方に接する機会はあるのではないかと思います。
B型肝炎ウイルス感染症は一生の感染症で、肝臓がんになる可能性のある感染症で、人にうつす感染症です。
しかし、B型肝炎はワクチンで予防できる感染症です。子どもの時の方がワクチンによる免疫がつきやすいです。成人になると10%くらいの人がワクチン接種しても免疫がつきにくいと言われています。副反応も少ないワクチンです。
是非、子どものうちに、接種しましょう。
当クリニックでは、2022年1月からプライスダウンして、B型肝炎ワクチンの接種キャンペーンを行っています。
1回3000円、3回の接種が必要です。
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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