院長コラム
2020年10月にスウェーデンから子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が子宮頸がんの発症を減らすという論文が出た。
このデータによると、17歳というまだ性交渉が少ないであろう年齢までにHPVワクチンをうつと、子宮頸がんの発症が抑えられるというデータであった。
10月9日に厚生労働省が『HPVワクチン定期接種については、積極的接種勧奨の差し控えを継続している状況ではあるものの、定期接種に関する情報提供は必要である』との通知(厚生労働省 ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がんとHPVワクチン~)とともに、新たなHPVワクチンのリーフレットを発行した。
厚生労働省発行 令和2年度リーフレット(詳細版)
それには、接種年齢の女子が将来、子宮頸がんを発症する割合、子宮頸がんにより死亡する割合と、HPVワクチンによる副反応の起こる割合が示されている。重症の副反応として、重いアレルギー症状(アナフィラキシー)、神経症状では手足の力が入りにくい(ギランバレー症候群)、頭痛・嘔吐・意識低下(急性散在性脳脊髄炎)などが言われている。
このデータから、各保護者が接種するかどうか考えてくださいということである。
【子宮頸がんになる割合】
【HPVワクチン接種による副反応を起こす割合】
そして、神戸市は11月16日ころ、高校1年生の女子6000人に、このリーフレットとともにお手紙を配布した。積極的接種は勧められていないが、高校1年生は来年の3月31日までは無料で受けることができるという内容である。
HPVワクチンは3回接種が必要であり、3回接種するには4か月かかる。11月から受けだしても来年3月に終了するのはぎりぎりである。
残念ながら、どの予防接種においても副反応はゼロではない。
重症な副反応はワクチン接種10万件に1回くらいの割合で起こると言われている。確率の話しかできないのは申し訳ないと思う。
副反応が起こってしまったらその人個人にとっては100%であるから。
ただ、HPVワクチンの副反応として大々的に報道された全身が痛くなるなどの症状は、調査によると、HPVワクチンをうっていない子にも同じ確率で起こっており、HPVワクチンの副反応であることは証明されていない(10万個の子宮、村上璃子、平凡社、2018年)。科学的でない報道が先走りし、90%以上あった接種率が1%まで落ちてしまった。
HPVワクチンを積極的にうっている国では若い人の子宮頸がんがなくなり、日本では若い人が子宮頸がんになっていく。がんの中では若い人にも多いがんである。
【子宮頸がんの年齢による発症数】
HPVワクチンを接種することをお勧めします。
たかのこどもクリニック
◆ワクチン接種時間◆
・火~土(月以外)10:30~11:30
・月、火、木、金(水以外)14:00~16:00
・月、火、木、金(水以外)17:00~18:00
◆接種料金◆
・小学6年生~高校1年生 無料(接種券)
・高校2年生以上
自費13,000円/回×3回=39,000円
著者 たかのこどもクリニック 院長 高野智子
アレルギー
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